失った歯の見た目や噛む機能を補ってくれる入れ歯ですが、いざ食事をしてみると食べにくさや違和感を覚えるという方も少なくありません。
せっかく作った入れ歯で快適に食事をしたいと思っていても、うまく噛めなかったり痛みが気になったりすると、毎日の食事がストレスになってしまいます。入れ歯で食べにくいと感じる背景には、お口の環境の変化や入れ歯の適合状態など、さまざまな理由が関係しています。
入れ歯で食べにくいと感じる原因
入れ歯は天然歯と比べて食べにくいですか?
入れ歯の種類や慣れ具合にもよりますが、天然の歯と比べると入れ歯のほうが食べにくいと感じやすい傾向があります。
天然の歯は顎骨にしっかり固定されているためグラつきがなく、食べ物の噛みごたえや温度、歯触りなどを直接感じることができます。
一方で、保険診療で作る一般的な入れ歯は、歯茎の粘膜の上にのせて支える構造になっているため、強い力がかかると浮きやズレが生じやすく、天然の歯に比べて噛む力が落ちてしまいます。さらに、お口の粘膜をプラスチックの床で覆うため、食べ物の温度や味わいを感じにくくなることも食べにくさにつながります。
しかしながら、金属のフレームを使用した薄く熱が伝わりやすい入れ歯や、インプラントで固定するタイプの入れ歯などを選ぶことで、ズレや温度の感じにくさを軽減し、食事のしやすさが改善する場合があります。
入れ歯が合っていないと食べにくくなることはありますか?
入れ歯がお口に合っていない場合、食べにくさを感じる可能性は高いといえます。
入れ歯が合っていない状態には主に、顎の形や歯茎にフィットしていないケースと、噛み合わせのバランスが崩れているケースのふたつが考えられます。
歯茎の形状にしっかり密着していない入れ歯は、食べ物を噛んだときにズレたり浮いたりしやすく、その隙間に硬い食べかすが挟まって痛みが生じることがあります。また、噛み合わせの高さや位置がズレていると、噛む力が一部に偏り、肉類などの繊維質な食べ物を噛み切れなかったり、硬いものを細かくすりつぶしにくくなったりします。
なお、入れ歯自体の形に問題がない場合でも、素材や構造の違いによって食べにくさを感じることもあります。一般的に保険診療で作る入れ歯はプラスチック製で厚みが出やすいため、自費診療の入れ歯と比べると違和感や食べにくさを覚えやすい傾向があります。
合わない入れ歯を無理に使い続けると、食事のストレスだけでなく歯茎を傷つける原因にもなるため、食べにくさを感じたら我慢せず歯科医院で調整や相談をしてみましょう。
食事内容によって噛みやすさが変わるか教えてください
食事の内容や食材の性質によって、入れ歯での噛みやすさは大きく変わってきます。
入れ歯で噛みやすい食事の代表例は、強い力をかけずに咀嚼できるやわらかい食品です。豆腐ややわらかく炊いたご飯、うどん、練り物などはスムーズに食べやすいといえます。また、ハンバーグや煮魚のように、お口の中で軽く噛むだけでほぐれる食材も入れ歯に適しています。
一方で、噛みにくい食事にはいくつかの特徴があります。煎餅やナッツ類のように硬いものは、噛むときに強い力が必要になるため、入れ歯がズレやすく、噛み砕いた破片が入れ歯と歯茎の間に挟まって痛みを感じることがあります。また、スルメやメンマのように弾力や繊維質があってしなる食べ物も、噛み切る際に負担がかかり入れ歯が外れやすくなることがあります。
さらに注意が必要なのが、お餅やガム、キャンディーなどの粘着性が高い食べ物です。これらはやわらかいものの、入れ歯に強く付着して、入れ歯が外れたり、噛み合わせを乱したりしやすいため食べづらい食材といえます。
入れ歯を使い始めた時期は、まずは噛みやすいやわらかい食事から慣らしていき、徐々に食べられるものを増やしていくとよいでしょう。
長年入れ歯を使用していると食べにくくなることはありますか?
はい。長年同じ入れ歯を使用していると、徐々に食べにくさを感じてくることがあります。
一般的に保険診療で作る入れ歯の寿命は4〜5年程度といわれており、長期間使い続けることで人工の歯が擦り減ったり、本体のプラスチック部分が変形したりしてお口の形に合わなくなっていきます。
また、入れ歯自体の変化だけでなく、年齢とともに顎骨が痩せて小さくなったり、歯茎が痩せて薄くなったりといった、お口の中の環境変化も大きく関係しています。顎や歯茎の形が変わることで、これまでぴったり合っていた入れ歯であっても、少しずつズレや隙間が生じるようになります。
このように、入れ歯自体の経年変化と、加齢によるお口の中の変化という二つの要因が重なることで、次第に噛みづらさや食べにくさを感じるようになります。
そのまま使い続けると顎骨がさらに減ってしまう原因にもなるため、食べにくさを感じたときは我慢せず、歯科医院で調整や作り替えの相談をすることが大切です。
入れ歯で食べにくいときの対策
入れ歯で食べにくいときはどうすればよいか教えてください
入れ歯で食べにくいときの対処法には、自宅ですぐに取り組める工夫と、歯科医院で行う根本的な対策の2つがあります。
まず自宅ですぐできる工夫としては、食材を一口大に切って食べやすくしたり、お餅などの粘り気があるものや硬くて歯茎に挟まりやすい食材を控えたりすることが挙げられます。また、片側の歯だけで噛むと入れ歯が傾いてズレやすくなるため、左右の奥歯をバランスよく使って噛むよう意識することも大切です。
一方、根本的な解決を目指す場合は、歯科医院で入れ歯の調整を受けることが効果的です。まずはかかりつけの歯科医院に入れ歯を持参し、噛み合わせや当たって痛い部分の調整を依頼しましょう。もしその場で行う調整だけでは不十分な場合は、歯科医院で一度入れ歯を預かり、歯科技工士の手で裏打ちや修復を行うこともあります。
調整を重ねても噛み合わせが改善しない場合は、入れ歯の作り直しを検討します。保険診療で作った入れ歯は、作製してから半年が経過していれば、原則として再び保険適用で新しく作り直すことが可能です。
また、よりぴったりとしたフィット感や噛みやすさを追求したい場合は、金属床やシリコン付きの入れ歯など、自費診療の入れ歯も選択肢に入れて相談してみるのがおすすめです。
食べにくいと感じたら歯科医院に相談するべきですか?
入れ歯で食べにくさを感じたら、我慢せずにできるだけ早く歯科医院へ相談することをおすすめします。
入れ歯は構造上、天然の歯とまったく同じように噛めるわけではないため、ある程度の慣れが必要な部分も存在します。しかし、食べづらさの原因によっては、歯科医院での噛み合わせ調整や正しい使い方の指導、あるいはご自身に合った入れ歯の種類へ変更することによって改善できる場合があります。
食べにくさや違和感を抱えたまま我慢して使い続けていると、噛む力が偏って歯茎に強い痛みが出たり、顎骨が通常より早く痩せてしまったりする原因になります。また、噛み合わせが合わない状態で噛み続けると、入れ歯自体に無理な負荷がかかり、破損や劣化を早めてしまう恐れもあります。
お口に合った状態に調整し、毎日の食事を無理なく楽しむためにも、少しでも不便を感じた段階で早めに歯科医師へご相談ください。
入れ歯を使い続けるために定期的な調整は必要ですか?
入れ歯を長く快適に使い続けるためには、定期的な検査と調整が欠かせません。
入れ歯自体は固い素材で作られていますが、お口の中の歯茎に当たる部分や顎骨は、加齢や日常生活の刺激によって少しずつ形が変化していきます。そのため、はじめのうちはぴったり合っていた入れ歯であっても、使い続けていくうちにわずかな隙間やズレが生じてしまうのが一般的です。
歯科医院では、むし歯や歯周病予防のための定期検診を2ヶ月から3ヶ月に一回のペースで受診することが推奨されています。この検診の際に入れ歯も一緒に持参してチェックを受けることで、お口の形に合わせて微調整を行ったり、入れ歯に破損や汚れがないかを確認したりすることができます。
合わなくなった入れ歯を早めに調整することで、歯茎の

